コラム

2006/11/24

甲州ぶどうを味わう(甲・TH)


▼ぶどうの棚の葉が色づく季節になると、山梨各地では、酒造メーカーによるワイン祭りが開催される。来場者によるワイン造り体験や、グラスを1000円程度で購入すれば、数十種類のワインが試飲できるなど、メーカーによって内容は様々

▼ワインの原料は、山梨では馴染み深い「甲州ぶどう」が主。ぶどうの色は薄い紫色で、甘みもあるが、酸味も若干ある。ワインも白が多いのが特徴だ。子供の頃は、ワインなどと言う洒落た呼び名ではなく、葡萄酒(ぶどうしゅ)と呼んでいた

▼甲州ぶどうは、古くから甲州市勝沼の上岩崎、下岩崎及び勝沼を中心に栽培されていた。商品として取引されるようになったのは、江戸時代5街道が開け、甲州街道が賑わった頃。栽培されたぶどうは、厳選され日本で2つの主要街道をつなぐ甲州街道を通り江戸まで運ばれ将軍に献上された。また、松尾芭蕉が甲斐へ入国し、勝沼宿を通った際つくった「勝沼や馬子もぶどうを食いながら」は当時の情景を良く表している

▼実は、甲州ぶどう栽培とワイン造りを習得するためフランスに派遣されたのは高野正誠、土屋龍憲という2人の青年。明治12年に帰郷し、直ちに醸造に着手した。その結果、27キロリットルを製造。しかも、輸入品より著しく安かったため大いに歓迎され、1年間で売りつくすことができたという。当時のレンガを用い建設した半地下式のワイン貯蔵庫は現在も勝沼に残っている

▼ワインにかける情熱が、若きワイン醸造家が集め、ぶどう栽培やワイン造りを山梨に根付かせた。その歴史の重み、青年の情熱をかみしめながら飲むのも一興かもしれない。(甲・TH)

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