コラム

2007/01/29

砂場は子供の舞台(東京・JI)


▼「ボウケンジャー!」「ウルトラマンメビウス!」4歳の息子が、見知らぬ子供4人と遊んでいる。初めて会ったにも関わらず仲が良い。彼らの舞台は公園の砂場である。ここでは全員が正義のヒーローであり、そして全員が敵。手足を広げてポーズをとり、また戦いを繰り返す。親たちは砂場の外で立ち、子供たちの様子を微笑みつつ眺めている

▼砂場の横に大きな木が立っていた。太い幹はまっすぐ天へ伸び、枝も四方八方に広がっている。寒い季節ながら緑の葉が茂り、陽光をいっぱいに受けている。周囲の木々は葉を落とし寒々しい姿となっているが、この木だけが生き生きとしている

▼きっと、公園が整備された際に偶然ここに植えられたのだろう。砂場の横に木を植えることにした設計者と、それを作り上げた施工者の名前が見える。この木が、こうして光を浴びて生き生きとしていられるのは、彼らが最高の舞台をプレゼントしたからである

▼人もまた同じなのだと思う。偶然性も多く影響しているだろう。しかし、今ここに自分がいるのは、誰かによるところが大きいのではないか。自分もまた、舞台の上にいる。この木のように、枝葉を広げる努力を続けていきたいー大きな木を見上げながら、そんなことを思ったひと時だった

▼他の親を尻目に、子供たちが遊ぶ砂場に入ってみる。仁王立ちになり、両手をカニのようにチョキチョキさせて「オレはバルタン星人だ」と低い声で脅すと、息子も含めてヒーロー全員が攻撃を仕掛けてきた。「フォッフォッフォッフォッ」バルタン星人の笑い声を真似しつつ、すぐに彼らの舞台から去ることにした。(東京・JI)

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