コラム

2007/02/09

競輪選手にみる人間関係(茨城・KK)


▼会社の後輩に「同級生に競輪選手がいる」と聞いて驚いた。ファンならご存知だろうが、初めて耳にする名前だった。浦川尊明さん(30歳)。昨年12月開催の大宮競輪F1で見事優勝を飾っている。近い将来、競輪界にその名を残す選手になるかもしれない

▼プロスポーツの多くは、才能がなければその世界に入ることさえ不可能だろう。しかし競輪に関しては、自転車競技の経験がなくても、ある程度の運動能力を持つ若者がひたむきに打ち込めばトップクラスに行ける世界といわれる。あの中野浩一さんは陸上競技出身だし、浦川さんも高校までは野球をやっていた

▼レースに出る機会は平等に与えられ、努力いかんで上に行ける世界だけに選手のトレーニングと節制は修行僧のようだ。通算獲得賞金史上1位の神山雄一郎選手は、ゴールまでの数10秒の爆発力のために、毎日朝70?、午前中150?、午後は「もがき(ダッシュ)」を中心に40?も自転車に乗ったという。オフシーズンのない競技だけに健康管理、体のケアには気を使う。50代で現役の選手もザラにいる

▼競輪には走力に加えラインというものが勝負を分ける。例えば関東ラインの選手が結束してブロックすればどんなに力がある関西の若手でも勝つことは困難だ。ラインは「逃げ」、「まくり」、「追い込み」などタイプの違う選手が組んで出来上がる

▼ラインは所属地域や練習仲間など人間関係で組まれる。選手はその中で勝ちを狙う。自分の脚力だけでは勝てないことを知っているだけに強い選手は皆謙虚だ。自由競争の時代だが、企業も個人も周囲の協力なしには成功できないだろう。(茨城・KK)

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