コラム

2007/04/11

悲劇と奇跡の現場から(新潟・KK)


▼災害は忘れた頃にやってくるというが「なぜ、この時期に」と思わずにはいられない。3月25日に発生した能登半島地震は、石川県輪島市などで最大震度6強を記録、人的被害に加えて各種インフラや家屋等に多くの被害が出ており、今後も予断を許さない状況が続いている。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、一刻も早い復旧・復興が望まれる

▼能登半島地震が起こる前日の3月24日には、新潟県中越地震による大規模な土砂崩れで母子3人が乗った車が生き埋めとなり、当時2歳の男の子が奇跡的に救出された長岡市妙見町の県道が、2年5か月ぶりに開通したばかりだった

▼復旧した県道は、法線変更や一部工事を24時間体制で進めるなどの努力もあって早期開通に漕ぎ着けた。しかし信濃川沿いの斜面には崩落した道路や激しく折れ曲がったガードレール等が、そのままの状態で残っており、地震の凄まじさを物語っている。正式決定した訳ではないが、地震の記憶を風化させないため現場の一部を保存することが検討されている

▼4月1日には、旧山古志村の5地区を対象に続いていた避難指示が解除された。避難指示の解除で住み慣れた山へ帰れるとはいえ基盤整備や住宅再建はこれからで、多くの人が仮設住宅での生活をまだ続けなければならない現実がある

▼中越地震からの復旧は着実に進んでいるが、復興はスタートラインに立ったばかりである。我が国では、いつ、どこで、どんな災害が起きても不思議ではない。災害に強い国土づくりに向けてやるべきことは多い。「悲劇と奇跡の現場」からは、そんなメッセージが聞こえてくる。(新潟・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら