コラム

2007/06/06

裁量権濫用は私権(埼玉・YW)


▼一般市民は住んでいる自治体の財産、もっと絞ると市有地、塩漬け状態の市有地の面積、その時価総額はいくらなのか知らない。正確には市長ですら知らないのでは

▼先日、埼玉県内のある市で、市長が「なぜか中途半端にいたる所に市有地があり、虫食いのため、事業ができない」と嘆き、ことの経緯を調べさせた。その結果、前市長が、近所や後援者から相続税対策のために田畑を買って欲しいと泣きつかれ、市長はすべて希望者の田畑を市土地開発公社を通じて購入していたため、無作為に広がった

▼それが仮に、将来市で何かの利用計画があるのなら、近隣だから購入するということなら百歩譲って仕方がないのかもしれない。しかし、購入根拠が後援者の頼みのためとなると貴重な税金を市長の強いリーダーシップという裁量権で執行したとはどうしても納得がいかない。どうみても私利私欲、自分の自分による自分のための裁量権となり、裁量権の濫用の範囲を超え、私権の発動を行ったにすぎないということになるのではないか

▼もっとも全国至る所で同様なケースはあると思って良いのかもしれない。夕張の破綻はどうだったか。情報公開されずに財政事情が切迫していることを広く深く認識もせず、役所任せだった市民が最後に泣くことになった。チェック機能をおろそかにしてはいけない

▼全国知事会では、知事会自身の高い倫理をもち、厳しい服務規程を各県は作成しているか、しようとしている。今こそ、首長の市民のための裁量権を発揮しなくてはならない時期にきている。決して私権になってはいけない。肝に銘じていただきたいものだ。(埼玉・YW)    

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