コラム

2007/06/28

無視できない伝承(群馬・HM)


▼災害にかかわる言い伝えは多くある。最も代表的なものは「地震の前にはナマズが騒ぐ」だろうか。そのほかにも「ネズミが逃げる家は火事になる」など様々言われている。中には、こじつけ気味に科学的根拠を挙げているものもあれば、そうでないものもある

▼私見だが、自然と共に生きていた時代の人は想像以上に感覚が鋭い。直感力なのか、または洞察力なのか。何しろ現代人にはない感覚があるようだ。だから、これら伝承も根拠があろうがなかろうが、ある程度正しいのではないかと思われる

▼こういった伝承がデータベース化されたページが開設された。総務省消防庁が作った「災害情報伝承データベース」がそれだ。ここには、日本各地の言い伝えや災害事例などが多く紹介されており、実に興味深い

▼この言い伝えを見ていくとなかなか面白い。「地震の時は竹藪へ」など経験に則したものから、「タケノコの背が低い年は嵐」「カメムシの多い年は大雪」など首をひねりたくなるものもある。しかし、今日まで伝わっている以上、それは伝える価値があり、また信じる人もいたという事だろう

▼最近、自分の身を自分で守るという考えが薄らいでいると聞く。だから被災地で話を聞くと、必ずと言っていいほど行政批判が出るそうだ。「避難勧告が遅い」「対策が不十分だった」。気持ちも分からなくはないが、それよりも目の前に水が迫っているのに逃げないという感覚がおかしい。怖いはずなのに逃げない。我々は、ここまで鈍感になってしまったのだ。先人達の鋭い感性が生きる言い伝えに触れ、自分の感覚に素直に従う感性を取り戻したい。(群馬・HM)

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