コラム

2007/07/30

本業の改革と発展(東京・JI)


▼保証事故が増えている。東日本建設業保証によると、4〜6月の前払金保証事故は昨年度比15件増の32件。弁済金額は40%増の2億4千万超。契約保証事故は同29件増の72件で、金額は70%増の2億8千万超。保証登録企業の倒産も同36件増の226件と多い

▼保証会社によれば、地方の優良業者の倒産が増えてきたという。無理もない。ここ最近の公共事業の減少や低価格競争を見れば、利益確保はもちろん仕事の確保すら難しい。各企業とも厳しい経営環境の中で存続をめぐって闘い続けている。ある県の建設業協会長は、低価格競争に歯止めをかけるには、赤字工事をやらないという「経営者の強い姿勢が大事」と話す

▼帝国データバンクの熊谷勝行氏は、著書『企業倒産』(平凡社新書)で倒産しないための考えを述べている。彼は「経営者がいかに本業に専念し、本業そのものの改革と発展にどれほど熱心に取り組んでいるかが決め手」と語る。新分野進出が叫ばれる建設業界、この「本業に専念し」との言葉が心に残る

▼著者は、売上を伸ばすための「妙薬はない」と言い切る。長年の努力の積み重ねが「不動の実績と信用」につながり、この背景があってこそ売上を伸ばすチャンスが生まれるという。ただし「実績と信用にあぐらをかいていてはダメになる」。日々一歩ずつの改善・改革が必要と訴えている

▼各企業にしてみれば、あぐらをかいているつもりはないだろう。それでも建設業界は依然として厳しく苦しい。まるで建設産業全体が消滅しかねないほどの想像以上にすさまじい様相である。これまでの実績と信用は、消えてしまったのだろうか。(東京・JI)

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