コラム

2007/08/02

ホタルが舞う川(埼玉・YK)


▼自宅から50mほど離れた檜の天辺で、早朝からカッコウが声高らかに「夏が来たぞ」と告げている。そのうえ、早朝から雀や山鳩が玄関や屋根に巣を作ろうと大騒ぎしてしており、ゆっくり朝寝することもできない。自然の息吹なのだが

▼元気な娘たちに言わせると「鳥の声などちっとも聞こえない」というから、朝早く目覚めるのは鳥のせいだけではなく齢を重ねたせいかとも思われる。しかし娘たちはけ跳ばしても足の裏をくすぐっても起きないので年齢のせいだけとは言えないと思うのだが

▼5年ほど前から拙宅近くの玉川上水に蛍が飛んでいる。年々数が増えて今年は結構な数を確認した。蛍は人間が近くに居ても放光を止めないので、難無く捕まえることが出来る。しかも掌の平で逃げようともせず幻想的な光を放ち続け、思い立ったように点滅しながら闇に戻っていく。何とも心休まる不思議な感情に支配される

▼蛍が発生している場所は、コンクリート3面張りで沿道には散歩道が設けられ、常に人の手が入っている。一般には蛍が生息できる環境ではないーとされている場所だ。しかし現実に多数の蛍がそこで幻想的な光を放っており、蛍のためにと、手を加えずにいる場所には皮肉にも蛍は飛んくれないようだ。不思議な生体は伺いしれない

▼手を入れない自然というのはただの荒地でしかなく、適度に人間の手が入った里山のような場所の方が環境に負荷をかけずに済んでいると言える。遊歩道の整備や水量の少ない小川や水路に水を戻す技術・ノウハウなど建設業界が得意としている分野は数多くある。視野を変えれば未開拓の市場はありそうだ。(埼玉・YK)

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