コラム

2007/10/04

ブラックジャックの質問(山梨・CT)


▼友人の出産を機に同級生が集まった。可愛い赤ん坊を前に盛り上がったのが「ブレストフィーダー」の話だ。ブレストフィーダーとは、いわゆる乳母のこと。日本では馴染みのない職業だが、ハリウッド女優が利用していることで知られる

▼出産後、早期の職場復帰や体型を崩したくない、などの理由から授乳拒否をする彼女達は、代わりに授乳してくれる人を雇う。フィーダーになる条件は厳しく、交遊歴、祖父母までさかのぼる健康診断、食生活まで管理される。しかし月収100万円以上という高収入らしい

▼同級生の中には妊娠中の人もいた。彼女の住む山梨県の某町には分娩できる病院がない。大きなお腹を抱えて隣の市まで診察に行くが、その病院でも医師の確保が難しいため出産予約を一時中止する事態に陥っている。近い将来お産の出来る病院がなくなるかもしれないーと危惧される

▼手塚治虫の漫画「ブラックジャック」の主人公BJは高額治療費を請求する天才無免許医師という設定だ。こんなストーリーがある。おばあさんは息子の手術代1200万円を30年かけてBJに支払い続け、返済し終えた日に倒れてしまう。息子は救いを求めたBJに治療費は3000万円だと言われ、「あなたに支払えますか」と問われる

▼少子化時代を向かえ産婦人科、小児科の現場は厳しい。母乳に100万は極端な例にしても母親なら我が子の健やかな成長を願うのは当然だ。そのためにも医療機関は不可欠な存在だ。息子はBJに答える。「一生かかってもどんなことをしても払います」政治や行政に求めてられているのはこんな覚悟なのかもしれません。(山梨・CT)

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