2008/01/15
お正月の風物「羽子板」(群馬・II)
▼お正月に遊ばれる駒や凧揚げなどの玩具、昔からお正月の風物詩となっている。新年を祝うと伴に、無病・息災などの願いを込め、子供達に遊ばれてきた。そして、縁起物としても使われてきた
▼特に羽子板は縁起物・玩具として使われてきた一つである。古くは、神事に伴うものとして、厄除け・厄払いの儀礼に使われた「呪具・じゅぐ」として使われていたもので、子供の遊びになったのは、室町時代末頃からで、これをつけば蚊に食われないという呪いから来たといわれている
▼ところで、なぜ蚊に食われないのだろう。これは、羽子板の由来から来ている。室町時代まで遡るが、当時、羽子板のことを胡鬼板(こぎいた)、羽子を胡鬼子という名前で呼んでいた。胡鬼とはもともと異郷の神と言う意味で、初春に羽子つきすると、夏に蚊に食われないとされ、羽子を蚊を食うトンボの姿に見立て、蚊除けの呪いとしていた
▼また羽子板を「厄を羽根返す、羽根のける」縁起物として、新しい年の無病息災を願い飾るのもいいだろう。だが、筑波山の伝説にある、イザナギノミコトとイザナミノミコトの夫婦神が日神と月神の二人の子供のために、ツクバネの実を掌で打ち上げて遊ぶことを教えたという話が起源ともいわれている
▼今の時代、外で元気に遊ぶ子供が減ると伴に、昔の遊びを継承していく人も減少してきた。古き良き時代と言うわけではないが、昔の様に外で遊んでいる風景も見たい気持ちもある。技術の伝承と同じように、この様な日本古来の文化も大いに大事にしていくべきだろう。静かなお正月をすごして、日本の伝統の大切さを改めて考えた。(群馬・II)