コラム

2008/01/23

後世が判断する(埼玉・YW)


▼世間一般的に言われるフレーズで人生最大の表舞台は「死後にある」とされる。人の価値は死後の周囲の人か歴史家が判断するということにある

▼その時々では無駄遣いだ、必要でないなど、とりわけ公共事業についてのことが昨今は多い。しかし本当に無駄かどうかは計画段階だけで議論することではなく、完成後の国民が判断する。バイエルン王国最後の国王で無駄遣いの象徴、狂気の国王で湖での死という人生そのものがドラマチックな国王=ルートヴィッヒ2世はその好例だ

▼「ノイシュバンシュタイン城」を建設当時、孤独な王子の無駄遣いと批判された。筆者はその城には思い出が深い。小学校の夏休みに宿題として描きたいと親に告げ、体が弱く王様同様に孤独だった筆者を不憫に思ったのか格安チケットがなく今より遙かに高価な欧州チケットを手に、ミュンヘンからフィッセンに向かい、絶景ポイントでその城を描いた記憶がある

▼こんなに素敵な城を造ったのに「どうして王様は馬鹿呼ばわりされてるの」と親に聞いた。答えは、「お前と同じで金食い虫だからだよ」と冗談で言われた。当時の筆者は全国でも当該検査は全国1と言われる新潟県の病院に通うなど金と時間のかかる児童で、好んでなったわけではないが金食い虫だった

▼その城は、世界中から観光客の憧れであり、バイエルン地方の観光の目玉になっている。決して無駄遣いではなかったのだ。まさしく後世の世界が認めている秀逸な事業だったのだ。自分も死後どう評されるのか少し想像した。「変わったやつだったな」と国王同様に言われるのかな。甘んじて受けよう。(埼玉・YW)

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