コラム

2008/02/12

負けるシティホール(新潟・KK)


▼全国で進む国のまちづくり交付金を活用した都市再生計画。今年度の「まち交大賞」に新潟県長岡市の「中心市街地地区」が輝いた。一旦郊外へ出て行った行政施設を中心市街地へ回帰させ、コンパクトで、にぎわい溢れるまちづくりを目指す取組みが評価された

▼長岡市は3年間で2度の大地震に見舞われたが、「前より前へ!」を合言葉に、全国が注目するモデル事業の実現に積極的に取組んでいる。その一つが「まち交大賞」受賞のポイントにもなった「21世紀の市民協働型シティホール」である

▼長岡市が計画するシティホールでは、市民と行政の協働の場を目指し、JR長岡駅前に公会堂、市役所、屋根付き広場等が一体となった施設を想定。今年度から着手する基本設計の委託者選定に当たってはオープンコンペ方式を採用。全国から寄せられた67の提案の中から、?隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)の案が採用された

▼日本を代表する建築家の一人である隈研吾氏は、コンペのプレゼンテーションで、公と私が境目なく入り混じる情景を造り出し、役所自体が自然に溶け込むような施設などを提案した。これは、新しい公共空間への取組みとして大きな注目を集めている

▼隈氏は、著書『負ける建築』(岩波書店)の中で、周囲の環境に溶け込み、敷地や予算などの制約を逆手に取り、独創的な建物を造ることで社会に受け入れられる建築を目指すーとしている。長岡市の敷地は、まさに周囲を建物に囲まる制約の中にあり、その中で、いかに周辺環境に溶け込んだ「負けるシティホール」を実現するのか。その答えは約3年半後に出る。(新潟・KK)

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