コラム

2008/03/21

良い方向へのデビュー(埼玉・TN)


▼先日テレビを見ていたら、ボブディランがフォークギターに替えてエレキギターで歌ったとき、フォークファンから猛烈な罵声を浴びているシーンが流れていた。特にコンサートの最中に観客の一人が「裏切り者!」と叫ぶと、場内に拍手やブーイングが起こっていた

▼「デビュー」という言葉がある。芸能界デビューとかそういったことではなく、少し揶揄(やゆ)した言い方。インターネットで意味を調べると、比喩的に初めて体験すること、新たなコミュニティに参加することーという説明があった。例えば「高校デビュー」とは、高校入学と同時に今までの自分を捨て別人になることとある。きっとボブのファンにして見れば、もっと重い深い思いもあったが、そんなことも当てはまるかもしれない

▼「デビュー」。今の世界経済でこれを例えると、ある意味中国が該当するかもしれない。別に今の経済成長が悪いというわけではない。急激な変化に、周りが大丈夫なのだろうかと、つい心配してしまうといった具合だ

▼人口約13億人。世界の人口の約20%を占める現在の大国・中国は、環境をはじめ、人権、経済格差などで多くの社会問題を抱えているうえに経済はバブルだ。日本のように、いずれ崩壊するのではないかーと書いている本も少なくない

▼冒頭のボブディランは、エレキギターに持ち替え歌った曲を演奏し終わると、拍手がわき起こったという。デビューとは素直に言い換えれば新たなステージ。今スポットライトを浴びている中国は、数多く報道されている悪評とは違い、ボブのように良い方向へ向かっていて欲しい考えてしまう。(埼玉・TN)

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