コラム

2008/04/21

改めて建設美を見る(新潟・HT)


▼過日、書店の一画で「土木エンターテイメント写真集」というコーナーを見つけた。そこには『ダム』や『ジャンクション』コ『ンビナート』などのエンターテイメントとは、程遠い施設を被写体にした一風変わった写真集が並んでいた

▼その中の1冊『ダム』(メディアファクトリー刊)には、作者(萩原雅紀氏)が撮影した250以上のダムの中から厳選した36カ所の写真が掲載されているほか、ダムの詳しいポイント解説、用語解説までしてある親切さだ。日常生活とはかけ離れている写真集を、購入する人がいるのかと思ったが、第2巻が出るほど好評だ

▼萩原氏によれば、ダムには、自然との対比、建設地点の地形や地盤の強度に合わせた様々な形式と、その目的用途に合わせたこの世に2つとないデザインに魅力があるのだそうだ。古城や寺社などといった建築物には、少なからず人から見られる、いわゆる建築美の意識を感じる。、ダムに、それがあるとは到底思えなかった

▼ところが、写真集を見て驚いた。そこに収められているダムは、使用されることを目的としているにも関わらず、個性にあふれたデザイン、自然との調和、その巨大さからの迫力、ライトアップされた様子など魅力が満載されている。思わず手に取り、見入ってしまうほど興味深く、文字通りのエンターテイメントだ

▼近年、こういった大規模な個性的な施設の建設や維持管理などには、風当たりが強い。しかし先人が残した貴重な財産には意外と魅力的な施設が多いことに気付くべきだ。そして新たな土木エンターテイメントの登場に期待せずにはいられない。(新潟・HT)

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