コラム

2008/07/31

大きいことはいいことか(埼玉・SW)


▼今秋、埼玉県越谷市内に日本最大級の大型商業施設がオープンする。最寄り駅は春に開業したものの、利用者はまばらで今は夜明け前の静けさといった雰囲気だ。それもあとわずか、もうすぐ活気あふれる街として動き出すことだろう

▼一方で、近くの商店街や地元スーパーなどはさらなる衰退を招き、閉店に追い込まれることが予想される。筆者が良く利用するスーパーも、近くにショッピングモールが開業して以来、寂しい雰囲気が漂っている気がする。一部では店じまいするという噂もあるが、あながち冗談ではないかもしれない

▼建設業界を見渡しても、大手ゼネコンがこれまで触手を伸ばしてこなかった小さな仕事にまで進出。その影響で、今までその仕事を担ってきた地元中小業者は、下請けとして参加させてもらうか、諦めて別の仕事を求めるか、果ては廃業するかなどの選択を迫られている

▼昭和40年代前半に流れたチョコレートのCMで「大きいことはいいことだ」というキャッチコピーがあった。当時は、敗戦後のダメージから脱却、大量生産・大量消費の高度経済成長時代に見事マッチした。しかし、コンビニエンスストアで刺身までもが売られる時代。「かゆいところに手が届く」こんなサービスが昨今の消費者ニーズだろう

▼建設業界も同様だ。小さいからこそ出来ることがあると思う。「困ったとき、あの会社に頼めば大丈夫」、技術だけでなく、安心も売れる会社となることで生き残る術もある。組織再編や淘汰が進むが、そんな時代だからこそ、地域の信頼を勝ち得て生き残る策を真摯に模索する必要があるだろう。(埼玉・SW)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら