コラム

2008/08/20

健康食「茗荷」の風味(長野・SK)


▼「ああ、かあさんは茗荷(みょうが)を食べないで。それ以上物忘れがひどくなってはかなわんよ」。お盆が過ぎたとはいえ、うだるような暑い日が続く。夏はやっぱりそーめんが良いと、薬味に茗荷を入れようとした母に父が言った。「茗荷を食べると、物忘れがはげしくなる」ってホント?

▼釈迦の弟子・周梨槃特(すりはんどく)は、仏道に優れ悟りまで開いた人物だが、どういうわけか、自分の名前を忘れてしまう。ふびんに思った釈迦が、首から名札をかけさせたが、そのことさえも忘れてしまう。とうとう死ぬまで自分の名前を覚えることができなかった。没後、お墓に見慣れぬ草が生えてきた。一生自分の名前を荷(にな)って苦労したということから「茗荷(みょうが)」と名づけられたという

▼俗に「食べると物忘れがひどくなる」と言われているが、栄養学的にそのような成分は含まれていない。逆に精油成分が、大脳皮質を軽く刺激して、ぼーっ!とした頭をシャキッ!とさせ、香り成分に集中力を増す効果がある

▼また解毒効果があるため、熱を冷まし、夏バテにも効果が絶大で、食欲増進にはもってこいの香辛菜。さらに腰痛、肩こりにそのまま患部に貼っても効果的とか。茗荷は野菜として栽培しているのは日本だけで、本州から沖縄まで各地に自生して年2回出回る

▼我が家も昔から茗荷をつくり、夏の食卓に薬味のほかに、炒め物や酢の物、サラダにてんぷらにと何かと登場する。最近は「かあさん茗荷はとても良いからたくさん食べて」と。しかし「いくら健康に良いとはいえ、どれを食べても茗荷の風味ばかりでは困るのだが。(長野・SK)

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