コラム

2008/09/25

「マイタウン」の約束(山梨・CT)


▼進学のため上京していた頃、帰省する度これを見かけては「あぁ帰ってきたな」と思ったものだ。コンビニのカウンターに置いてあるA5サイズのタウン誌、その名も「マイタウン」。創刊は昭和58年、地元の人なら一度はその誌面に関わったことがあるはずだ

▼読書の秋、この季節は書店も店作りに力が入る。売り上げを左右するともいわれる手書きのPOP(広告)も多い。最近は全国の書店員が一番売りたい本を選ぶ「本屋大賞」を設けるなど、出版不況の中で店側の努力が続く

▼青山ブックセンターなどを運営する洋販ブックサービスが民事再生法の適用を申請し、支援に名乗りを上げたのが中古書店のブックオフコーポレーションというのは実に興味深い。新刊と古本、さらに洋書とジャンルの違う商品をこれからどのように展開していくのか、楽しみだ

▼先頃、民事再生手続きを進めていた山梨県内の老舗建設会社の再生計画案が可決された。県内でも歴史があり、トップクラスの企業。その動向は、業界のみならず多くの県民が注目していた。債権者の9割もが賛成し再建を望んだ背景には、社員も支える企業にも「まだあきらめない」という思いがあったからではないか

▼厳しいのは建設業界だけではない。インターネットなどに押され、全国的に存続が危ぶまれるタウン誌だが、「マイタウン」もこの9月号をもって休刊となってしまった。地方は廃れる一方なのか。新しい発想と、地元企業だからできること、可能性はまだまだあるはずだ。「マイタウン」だってあきらめてなんかいない。なぜなら表紙にはこう綴ってある「じゃあ、またね」と。(山梨・CT)

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