コラム

2008/11/14

時代が求めるもの(茨城・KK)


▼NHK大河ドラマ『篤姫』が好評だ。1月6日の放送第1回から視聴率20%以上を連続して記録。9月からは本編終了を待たずにBSハイビジョンで集中アンコール放送が開始されるなど大変な人気を博している

▼時代劇には珍しく若々しいキャストを多用。女性を主人公とする作品も47作の大河で7回目。これまで歴史の影に埋もれてはいたが、江戸城無血開城の功労者・篤姫をはじめとする女性たちの誇り高い生きざまがホームドラマ的雰囲気のなかで、生き生きと描かれている

▼来年2009年の大河ドラマは戦国時代から江戸時代初期にかけての武将・直江兼続(なおえ・かねつぐ)が主人公の『天地人』。知る人ぞ知るといった地味な存在だが、戦国武将・上杉景勝の参謀として戦国の世を駆け抜け、徳川時代には家老として米沢藩の基礎を築いた

▼主君への忠誠心が強く、義に篤い性格同士であったためか、石田三成とは生涯にわたって親友関係にあった。天才軍師にして日本一の兵(つわもの)真田幸村とも昵懇(じっこん)だったと伝えられる。陪臣でありながら大名とも臆することなく堂々と渡り合った

▼「私は徳川の人間です」。最後まで、実家・薩摩を頼ることなく、婚家・徳川を守ろうとした篤姫。世の中が利益の追求、目先の損得に奔走し「勝ち組」、「負け組」などという不愉快な言葉が当たり前になり、その格差が開く一方の現在、義に生きた『篤姫』人気は、至極当然かもしれない。来年の『天地人』も成功するだろう。「義」とは、人として守るべき正しい道(小学館・大辞泉)とある。それこそが今、時代が求めるものだろう。 (茨城・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら