コラム

2009/01/28

冬に見る春の芽吹き(群馬・HM)


▼去年の冬から飼いはじめた犬を連れて散歩に出る。愛犬と散歩、と言うと何となくのんびりした休日を連想させるが、この時期の散歩は実際はそれほど優雅なものでもない。何しろ寒い。上州名物「からっ風」が遠慮なく頬を打つ。天気がよくて気温がある程度あっても、山から吹く風の冷たさは尋常でない。厚着をし、手袋をはめ、帽子をかぶり、マスクをする。それでも寒い

▼そんな酷寒の中でも、時折、春を感じてうれしくなる瞬間がある。硬い土からわずかにのぞく小さな芽。夕方の散歩では、少しずつ陽が長くなっているのが実感できる。なるほど、寒い寒いと言っているうちにも、少しずつ春に向かって進んではいるのだと分かる

▼現在、日本は100年に一度と言われる不況に見舞われている。日本経済を根底で支えてきた自動車メーカー、電気メーカーが次々と収益を下方修正、そして契約社員の解雇といった暗いニュースが昨年末から後を絶たない。これから先、一体どうなるのか、その不安から消費者の購買意欲はさらに減少し悪循環に陥る。まさに冬の時代だ

▼一方でこんな話を聞いた。今回の不況は、日本の中で何かが悪かったのではなく、売っている先が悪くなった余波を受けているもの。だから、これまでやってきたことは間違いではなく、必要以上に自信を失うことはないーと言う

▼過去の歴史を振り返ってみても、終わらない不況はない。積み上げてきた技術力は確かなものだと信じ、冷たい土から力強く顔を出す若葉を待つように、明るい兆しを探しながら耐えていかなければならない。今は厳しい冬だが、必ず暖かい春が来る。(群馬・HM)

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