コラム

2009/05/22

文房具を選ぶ喜び(茨城・KK)


▼個人的な趣味で恐縮だが、書店や文具店で文房具を見て歩くのが好きだ。ボールペン、マーカー、修正液・修正テープ、メモ帳…。小さなものなのに、文房具を見ていると、不思議と元気とやる気が出てくる

▼ワープロからパソコンの普及でここ数年、文字を書く機会は本当に少なくなった。「書く」という行為が「打つ」という行為に取って代わり、鉛筆や消しゴム、ノートといった基本的な文房具の存在意義が極めて薄くなりつつある。少子化のほか、企業や官公庁の経費節減、ペーパーレス化の進行の影響で、国内の文房具市場も縮小している

▼文房具には、人それぞれのこだわりが出る。鉛筆やボールペン、シャープペンシルなど、これだと思うものを次々に使って試していく。そして自分の定番を見つける。万年筆のように?この1本?を選び、一生ものとして使い続ける喜びは実に大きい

▼今やレコード盤は姿を消し、CDに変った。しかし、音の変換など途中の過程がデジタル化されても、最後にスピーカーから出る音は振動板が空気を震わすアナログである。文書を作成する際にはプリンタで印刷するにせよ、草案を考えるのには紙と鉛筆が欠かせない

▼時代とともにデザインが洗練されたり、少しずつ改良されて機能性が高まっているとはいえ、文房具は、基本的には理にかなった原始的でシンプルな構造だ。「最後は人の関わり合いがものを言う」―社会の成り立ちと似ている気がする。高級品でもなく、ごくありふれたものでも、長年気に入って使っていると、「これは自分のために作られたものでは」と愛着を感じるから不思議なものだ。 (茨城・KK)

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