コラム

2009/05/25

声高な地方分権(埼玉・YW)


▼地方分権一括法が施行され約10年が経過する。地方と国は対等であることをうたった画期的な法律であった。しかし地方と国の双方のマインドがなかなか法律どおりに運ばなかったことは言うまでもない

▼昨今、知事会議などで直轄負担金廃止、国は「ぼったくりバー」「詐欺師集団」など、さんざんにたたかれている。この様子を見ると、初めて「国と地方は対等に近づきつつあるのかな…」と思え、直轄負担金廃止、その先にある真の地方分権を叫んでいるのだと感じる。したがってこれらの議論は地方分権、対等法の具現化の1ステップであると思えてくる

▼そもそも対等法には、国が地方にしてはいけないことで、「通達、要請」などの言葉は使っていけないことになっている。一部の新聞報道を見ると、「○○を緊急経済対策の一環で地方にも要請」などの単語が並ぶが、受け取る県は「参考通知文に過ぎない」とあくまでも「参考文として読むだけ」「法律にはそう書いてある」と常に答える

▼そのとおりで、罰則がないからと言って要請や通達は国と言えどもやってはいけないのだ。ただし1つだけ厳密に言うと違う。それは総務大臣からの改善命令は「首長として従わなくてはいけない」ことになり、数年前に沖縄県の某市が予算に関して命令を受けている

▼対等法施行後も国の精神的立場は地方より上位だったことは、交付税、補助金という名目があったからにほかならない。その類の中で、負担金を払わないと声高に知事が叫ぶ番になり、ようやく本当の意味での対等を意識した首長が出現したと言えよう。国と地方の関係が面白くなってきた。(埼玉・YW)

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