コラム

2009/07/03

事故防止への一層の努力を(茨城・MK)


▼年の瀬も迫った昨年12月24日、その事故は起きてしまった。自走式駐車場の側溝補修現場。フェンスとフェンスのわずかなすき間でモルタル塗装を行っていた作業員が、フェンスが突然開いてしまったため約16m下のコンクリートの地面に落ち、亡くなった。53歳の左官工。経験32年の大ベテランだったという

▼これは茨城県内で発生した建設業関係の事故だ。このほど開かれた建設業死亡災害ゼロ推進大会で茨城労働局の担当者が紹介した。同局によると、昨年1年間に県内で労働災害で亡くなった建設業関係者は9人。全国では労働災害で亡くなった建設業関係者は366人。その一人ひとりに人生があり、家族があり、会社があったはずである。それがすべて失われてしまった

▼建設業関係の事故原因は、墜落や転落によるものが半数以上。時期は10月から12月までが多い。また、最近の特徴として50歳以上の事故が多いという。現場に余裕がなくなってきているのだろうか

▼別の安全大会で講演した労働局の担当者は、さまざまな労災現場を調査してきた経験を通し、最近の問題点として?やるべき基本的な安全対策ができているか?現場だけに問題を任せていないか?先輩から後輩への安全管理技術の引き継ぎは十分か―と投げかけた。「事故が起こる前の一つの対策は、事故が起こってからの百の対策に勝る」。その講師は、このように先輩から教わったという

▼冒頭の事故は、フェンスの外側にある取っ手が壊れており番線で縛られていたため起こってしまったのだが、関係者は悔やまれるだろう。事故防止への一層の努力が求められる。(茨城・MK)

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