コラム

2009/07/09

人口減少と建設業者(東京・JI)


▼8月施行の「改正高齢者住まい法」によって、高齢者の居住安定確保が強化される。公営住宅と福祉施設の一体的整備に補助金を出す施策だ。藤正巖・古川俊之著『ウェルカム・人口減少社会』(文春新書刊)によると、都心部に公営住宅を作り高齢者向け住宅やデイケアセンターを設けて賃貸する施策は西欧で先行していたらしい

▼平成12年に出版された同書には、人口減少で空き家が大量に発生し土地が資産としての価値を失うことで、日本でも同様の施策が実現する、と書かれている。同書刊行から約10年たって、施策はようやく本格化する見通しだ

▼また同書では、既存住宅をリフォームし社会的な価値を持たせることを提案する業種が大量に発生するとも述べている。リフォーム促進も、国交省は住生活基本計画の中に位置づけて重要視している。同書に書かれた住宅・福祉の一体的整備も、そしてリフォーム提案の発展も着実に進んでいる状況だ

▼では、この2つの記述の間に書かれたことも実現してしまうのか。そこには「建設業者の多くは用済みとなる。土建屋国家の終焉は間違いなく次の30年間で起こる。労働力の大きな部分を占めてきた建設業従事者は海外の先進諸国と同様に減少する」とある

▼著者の言うとおり、今の建設業界は厳しい状態にある。建設業就業者数も、総務省の調査では平成12年当時は653万人だったが、21年4月には506万人。9年間で150万人も減少した。今後も同じ推移ならば平成30年には350万人、39年には200万人にまで減る。建設産業は本当にこのまま縮小していくしかないのだろうか。本気で知恵を絞るときだ。(東京・JI)

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