コラム

2009/07/30

映画「富士山頂」を見て(埼玉・HS)


▼昭和45年公開の「富士山頂」という映画を見た。その頃は大阪万国博覧会が開催され、日本は高度経済成長の真っ只中。この映画は6月に23回忌を向かえた、あの石原裕次郎が主演した日活映画で、巨大台風から国土を守るため富士山頂にレーダーを建設するというストーリー。実際のレーダー建設は伊勢湾台風の教訓を受けて計画され、昭和39年5月に着工された

▼映画では気象庁の課長(芦田伸介)が大蔵省に予算要求し続け、3年目でやっと2億4000万円の予算を獲得。工事は山頂までの資材搬入の困難さや劣悪な気象条件などから、随意契約で発注された。受注した重電機メーカーのエンジニア(石原裕次郎)とスーパーゼネコンの技術者(山崎務)は、作業員の高山病や資材搬入などの課題を、それまでの馬による輸送からブルドーザーに変えた勝新太郎役の強力(ごうりき)の協力で解決

▼工事終盤の最大の難関である、重量500?のレーダードームの設置では山頂の気象条件の回復に悩まされたが、最終的には晴天無風となりヘリコプター会社のパイロット(渡哲也)の操縦で、基礎台と結合した。出演者は他に、芦田伸介の上司役で宇野重吉、石原裕次郎の婦人役で星由里子が登場する

▼建設工事などの業界をテーマとしたテレビ番組はNHKの「プロジェクトX」が有名だが、この「富士山頂」にはそれを越えるリアリティーと迫力があった。その要因は、この映画の原作となる小説「富士山頂」の著者である、新田次郎本人が芦田伸介役の気象庁課長だったのが大きい。いわゆる、官製談合のモデルケースまでもが映像化されているのだ。(埼玉・HS)

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