コラム

2009/08/31

偏らないエコひいき(新潟・YY)


▼国は太陽光発電の普及促進や関連産業の活性化を目的に家庭用太陽光発電設備に対する補助金制度を昨年度に復活させ、今年度予算に事業費201億円を盛り込んだ。また、22年度までには各家庭、事業所、学校等での余剰電力を現行の約2倍で電力会社に買い取らせる制度の確立も検討している。それに伴い、コスト高となる各電力会社はその分を電気料金に転嫁することとなる

▼もし、筆者の住む新潟県で太陽光発電の設置を考えたとき、国や地方自治体の補助金をうまく利用すれば設置費用は随分抑えられそうだ。しかし、降雪期間の長い新潟県の特に中山間地域において設備投資に見合うだけ太陽光の恩恵を受けられるだろうか。ここは問題だが

▼統計局が公表する全国に56ある気象官署別の年間日照時間(昭和46年〜平成12年の平均)によると、新潟県は年間の日照時間が1651時間―と名瀬、稚内、八丈島、屋久島、秋田、富山、福井など時間の短い方から9番目。時間の長い上位3地点の甲府、潮岬、高知の4分の3程度だ

▼また、日照時間が比較的長い地域でも木造戸建て住宅の周辺環境や屋根の傾斜・方角によっては、太陽光を効率良く集められるとは限らない。クリアーすべき問題は山積だが、それはさておいて

▼政府が示す「2020年に05年比で15%削減する」温室効果ガス削減目標達成のために化石燃料を使わないクリーンエネルギーへシフトするのは当然だ。ただ新制度の導入にあたっては、それぞれが抱える実情を考慮しつつ各地域・家庭で協力できることを積極的に行えることが理想だ。「エコひいき」にはならないように。(新潟・YY)

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