コラム

2009/09/07

20%で何を生み出すか(東京・JI)


▼ポストイットで有名な3M社は、就業時間の15%を個人の自由な研究に使って良いらしい。15%は、8時間労働であれば1時間強に相当する。人を引きつける新商品は、こうしたルールがあってこそ次々と生まれるのであろう

▼検索サイトなどを展開するグーグル社の場合はさらに徹底していて「就業時間の20%を別の開発に使わなければならない」というルールがあるという。もはや義務化しており、新しいものを生み出さない者は不要ということだろう。だからこそ同社は脅威的な成長を遂げたに違いない

▼人を引きつけるアイデアは、どうすれば生み出せるのか。クリエーティブ・ディレクターの山本高史氏は著書『案本』の中で「人に選ばれるユニークとは、誰も考えないことではなく誰もが考えはするが誰も考えつかなかったこと」と述べる。「考えはするが考えつかない」とはどういうことだろうか。実践しようにも、とまどうばかりだ

▼山本氏はさらに「他人の痛みを知らないから、発言や表現で不用意に人を傷つける。他人の喜びを知らないから、そこへ導くアイデアを提供できない。他人の気分を知らないから、空気を読めないヤツと指をさされる」と語る。まるで自分が責められているようで、読んでいて少しだけ胸が痛くなる

▼アイデア創出のために1日のうち2割の時間を費やすことは意外に難しい。しかし2割は無理でも1割ならば可能かもしれない。誰も考えつかないことは頭に浮かばないかもしれないが、他人の痛みや喜びへの配慮は心がけ次第だ。自分もまた毎日の積み重ねから様々なアイデアを生み出したいと思っている。(東京・JI)

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