コラム

2009/10/06

外来種がもたらした害(茨城・KS)


▼朝夕と涼しくなりすっかり秋を感じるこのごろ。アウトドアのハイシーズン。大好きな釣りに興じたくなってきた。特にルアーという疑似餌(ぎじえ)を使うブラックバス釣りが好きだ。某人気芸能人らが牽引し、90年代半ばに大ブームが巻き起こったが、最近では「害魚」と呼ばれ、めっきり活気がなくなってしまった

▼1925年、実業家の赤星鉄馬氏が「水産・スポーツ振興」の目的でアメリカより輸入し、神奈川県箱根町の芦ノ湖に放流した。その後、大学や研究機関が政府の許可を得て自然水域へと放流し、その生息域は拡がっていった。だがブラックバスはワカサギやタナゴなどの在来種を食べてしまうため、邪魔者扱いを受けることに

▼同じ害を与える生物で、「ヌートリア」という南アメリカ生まれの巨大ネズミがいる。かつて毛皮養殖のため輸入されたが、大量に捨てられ、稲や根菜を食い荒らしているという。また、北アメリカ産の「カミツキガメ」はペット用に大量に輸入されたが、凶暴で飼い馴らすことができずに捨てる飼い主が続出

▼これらの生物は「特定外来生物」といわれ、2008年で約100種が認定されている。環境省では、予防3原則として「入れない」「捨てない」「拡げない」を掲げ、被害を抑えるため駆除に乗り出している

▼しかしこの被害、元はといえば人間がもたらしたもの。輸入したことで楽しみを享受し、学問、経済などの発展につながったことは事実である。それにしてもこの様相、公共事業不要論に似ている気がする。もしかしたら、これからとてつもない「害」が待ち受けているのかもしれない。(茨城・KS)

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