コラム

2009/10/08

どうせなら必要なものを(埼玉・AO)


▼「万里の長城」「ピラミッド」と並んで、世界三大馬鹿の見本と揶揄(やゆ)される「戦艦大和」。それまで世界の海軍を支配していた大艦巨砲主義を象徴する船だが、航空機の出現により戦術が、艦隊決戦という旧来型から航空母艦と艦載機によるアウトレンジでの戦いに移りゆく時代。世界最高水準とされるものであっても旧世代の遺物でしかなかったのか

▼第2次世界大戦前、ニューヨークに端を発した世界恐慌。アメリカ合衆国は、F・ルーズベルト大統領の下、ニューディール政策を推し進める。また、日本とはヒトラーが政権獲得後、同盟を結ぶことになるドイツでは、アウトバーンの名で知られる自動車専用道路網が整備された。いずれも、公共事業による有効需要を創出し、景気の浮揚を図ったが…、結局は多くの血と破壊を必要とした世界大戦へ進む

▼特にアメリカでは、戦場が国土から離れた場所でもあり、戦艦、空母をはじめとする艦船、戦闘機、爆撃機など航空機、戦車、ジープなどの車両。いずれも戦時体制下で工場はフル操業、戦時景気に沸いた。戦争も国が行う景気浮揚策の一つだったのだろうか

▼ケインズ的に言うところの有効需要を発生させるための公共事業。「作るものがなければ、ピラミッドでも作ってしまえ」とまでは行かなくても、せっかくなのだから、多くの人が有効に利用できるもの。いずれにしてもやらなければならないものに投資したほうが、ピラミッドを作るより、ずいぶんまし

▼万里の長城、ピラミッドは、観光という面で存在価値を見出している。使えないものでも、使い方によっては価値を生み出す好例かも。(埼玉・AO)

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