コラム

2009/10/21

それぞれの貴重な汗(群馬・AN)


▼毎年、林業技士有資格者の任意団体が国土緑化推進機構の「緑の募金」事業の助成を受け、群馬県安中市松井田町の小根山森林公園で間伐などの森林整備ボランティアを行っており、先月その取材に伺った

▼作業場所は毎年異なるが、今年に至っては集合場所からもっとも遠く片道30分以上の場所。しかし、歩いてみると風も爽やかで見通しも良く、下りということもあってか、行きは意外にも軽快だった。その途中、一緒に歩いていた作業員から「帰りはきっと辛い道のりだよ。ただ、辛くなったら後ろを振り返ってみたら」と言われた。何のことかわからなかったが「帰り道は辛い」という文言だけは、脳裏に強く焼き付いた

▼この公園は91ヘクタールの敷地面積を誇り、約100年前から外国や日本各地の樹木の試験研究を行い、林業関係者の見本林として活用されていたものを昭和48年に森林公園として整備した。園内には国内でも有数の貴重な林をはじめ、鳥獣資料館や野鳥観察小屋、遊歩道などがあり、四季を通じて自然探勝ができる

▼案の定、帰りは上り坂続きで、汗を流しながらとなった。心の中に「辛い」という言葉が何度も何度も往来しながら、ふと作業員に言われた言葉を思い出し、後ろを振り返ってみると、間伐が丁寧に行き届いた立派な木々が立ち並んでいた

▼間伐をしなければ、暗く湿った木々が道を覆い、地すべりなどを起こす危険性があることは周知の事実。91ヘクタールという広大な森林公園を徐々に徐々に整備する人たちがいる。同じ汗を流すにしても、こういったことに汗を流す人たちがいることを忘れてはならない。(群馬・AN)

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