コラム

2009/10/29

求められる変化への対応(東京・UT)


▼生き残るのは、最も変化に対応できる者―。民主党政権発足から1カ月が経過し、ダーウィンの進化論を頭に浮かべた方もいらっしゃるのではないか。事務次官会議があっさり消滅するなど、霞が関の常識も変わった。各省庁の中でも、社会資本整備を進め、建設産業を所管する国土交通省は、とりわけ急激な変化に見舞われている

▼例えば河川局では、これから本格化するダム事業の大幅な見直しがわかりやすい。治水の観点から、従来は「いかに必要か―といった資料を作成してきたわけだが、これからは「いかに不要か」といった視点が政務三役から求められる。天動説から地動説へのコペルニクス的大転換といえよう

▼国交省関連ニュースの発信源も、政治主導に切り替わった。「八ッ場ダム本体工事中止」「羽田の国際ハブ(拠点)空港化」「国幹会議の廃止」など、トップの前原大臣がインパクトのある発言を連発。多くの職員はついていけず、自民党時代とは隔世の感がある

▼急激な変化に対応すべきは、それぞれの産業は当然だが、弊紙も対岸の火事と傍観するような情況ではない。民主党が掲げる「政治主導」により、中央省庁の取材に関しては、大臣・副大臣・政務官の情報発信をどうキャッチするかが重要となった

▼前原大臣はこれまでに、ゼネコンの国際展開強化を発信している。国直轄事業が減少する中、新幹線、下水道技術などを生かして海外で受注するよう促していく。地方分権推進からの地域建設業の生きる道は、まだ見えていない。あらゆる関係者が、試行錯誤の中にいる。いつか、笑って振り返れる日はくるのだろうか。(東京・UT)

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