コラム

2009/11/24

これしかない−という選択(新潟・TH)


▼民主党に政権が移り、テレビの街頭インタビューでは、買物帰りの奥様方が「新政権に期待することは」と聞かれ、「無駄な公共事業を減らして、年金問題とか、子育て支援、雇用対策を期待する」と口をそろえて答える。「期待すること」については「年金問題」「子育て支援」「雇用対策」などであり、無駄なものは必ず「公共事業」である。これが巷の模範解答らしい

▼やはり、家計を預かる主婦としては「年金」や「子育て支援」は、自らの身に直結する問題であり、公共事業の削減による建設業界への打撃は、いわば「対岸の火事」なのだろう。ただ、ぜひとも、旦那様のご職業もあわせて聞いてみたいところだ

▼筆者の知人で、2年前に結婚したことを契機に、地元の建設会社を辞めた人がいる。彼は、減り続ける仕事と給料に危機感を覚え、他業種へ転職した。その後1年後、彼は、子供ができたことを契機に、再度別の建設会社へと復帰した

▼なぜ、一度は捨てた建設業に再就職したのか。それは、家族を支えるため最良の選択だったという。2年前に「危機感」を持った建設業だが、いちど覚えた技術や取得した資格を捨ててまで、新しい仕事を探して、覚えている時間的・金銭的な余裕がないとし、家族を支えるため「自分には、これしかない」と語る

▼新政権では、大手企業は海外へ、中小企業は他業種への転換を進め、現在の半分以下にまで、業者数を減らす考えだ。確かに、減り続けるπ(パイ)を現在の数で取り合うことは、得策ではない。ただ、他業種への転換を迫られたその時、その覚悟が、並大抵のものではないことは言うまでもない。(新潟・HT)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら