コラム

2010/02/24

見直す価値はそこにある(群馬・AN)


▼「現代では高貴なもの、特別なものになってしまった感のある伝統建築。しかし、本来は日常に溶け込んでいる普通のものでした。『先人の誇り』『知恵と技術』『畏怖と威厳』『日本人の憧憬と心の平穏』など、今一度見直してみませんか」。これは京都の設計会社のホームページにある文言だが、妙に説得力がある

▼暴行騒動で注目を浴びる朝青龍。伝統の壁に立ち向かい、日本相撲協会の理事に初当選した貴乃花親方。大相撲の話題といえば、昨今こういった場外戦がもっぱら。力と力の勝負に一喜一憂した時代は忘れられ、畏怖と威厳に満ちた大相撲は、もはや週刊誌の格好のネタとなっている

▼相撲の歴史は古く、古事記や日本書紀といった文献にも記されている。名勝負が数多く繰り広げられてきた国技館。今ある東京・両国の施設は3代目にあたり、鹿島建設が施工した。そして、国技館という名前が生まれてから今年で101年目を迎えた

▼その鹿島建設が自社の130年史制作のため、社員やOBなどに呼びかけ大規模な資料収集を行い、まとめられた『鹿島の軌跡』には、国技館に関する当時の出来事や様子が記されている。今では当たり前となった『エコ』だが、そんな言葉がない時代に常用の自家発電装置を設置するなど当時にしては非常に画期的で、これ以外にも多くの高い技術力を結集した施設であったことが記されている

▼高い技術力と無事故無災害で施工された国技館。場所は変わるものの、今でも年6場所で熱戦が繰り広げられている大相撲。『先人の誇り』『知恵と技術』『畏怖と威厳』。今一度見直す価値がそこにはあるのでは。(群馬・AN)

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