コラム

2010/03/18

悲喜こもごも桜の季節(埼玉・NH)


▼年度末を迎え、人事異動と入退職の時期が近づいてきた。長引く景気の低迷から、高校生や大学生の就職は最悪な状況となっており、とりあえずアルバイトでという人が増えている。一方、業績の悪化から、リストラや勧奨退職を実施している企業も多い

▼義弟が勤めている某大手企業では、管理職の勧奨退職年齢をこのほど55歳から53歳に引き下げたとの話。以前は、子会社や取引先のメーカーに役員のポストが用意されていたが、この不況の真っ只中にあっては、自分で何とかしようと、3年後の退職に向けて、中古のアパートを購入するなど、収入を得るための準備をしている

▼官庁や大半の大企業は、勧奨退職を進める中で、退職金を加算する早期退職優遇制度を設けている。友人が勤めている大手家電メーカーは、50歳で給料の30数カ月分が加算されると聞いた。また、公務員の場合でも相当な金額が加算されているようで、中小企業で働く者から見れば、誠に羨ましい限りである

▼中小建設企業の現場で働いている人々が加入できる、建設業退職金共済制度では、1日310円の掛金で40年間納付しても、退職金額が約563万円にしかならない。これで65歳まで仕事があればいいが、60歳で定年となれば、年金受給を繰り上げねば食べていけない

▼桜の季節を迎え、俳優の故鶴田浩二さんが歌った軍歌「散る桜 残る桜も 散る桜」が思い出される。江戸時代の曹洞宗の僧侶で、歌人でもあった良寛和尚の辞世の句と言われている。明日のことは誰にも分からないが、人には寿命がある。分からない明日を悩むより、今を有意義に生きたい。(埼玉・NA)

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