コラム

2010/04/14

未来へ向けて進化を(群馬・HM)


▼ふとテレビを付けた時に動物もののドキュメンタリーが流れているとつい見入ってしまう。特に好きなのは深海生物。光がまったく届かない海の底に適応した生物は、実にユーモラスな外見や生態を持つ

▼その中にシロウリガイという貝がいる。大型の2枚貝で1億年も生き続けている生きた化石。この貝は海底から噴出する温泉水に含まれる硫化水素を栄養源にする。我々には毒だがこれをエネルギーに替える細菌を体内に飼っている。我々の太陽エネルギーを起源とする生態系からは外れた生物だ

▼さらに驚くことに、シロウリガイは硫化水素を含まない冷水が吹き出ているところでも発見された。冷水に含まれるメタンを消費して硫化水素を生産するバクテリアが地中におり、シロウリガイは地中に足を伸ばして栄養源を摂取していた。さすが1億歳の適用能力はすごい。「最も変化に適応できるものが生き残る」とは進化論のダーウィンの言葉だが納得である

▼現在、我が国の経済は「100年に一度の大不況」と言われている。しかし80年前の世界大恐慌と比べてみても多くの相違点が見られるという。これは100年一度ではなく、まったくの希有、未知、初めて体験する不況という捉え方が正しいのだろうが

▼未知なるものへの対応策は過去にはない。生き残るためには新しい発想が必要だ。冷水下でも生き残る手段を見付け、生活圏を広げたシロウリガイのような柔軟な適応力が不可欠だ。これは変化というよりは進化であろう。企業も個人も含め、国全体が今進化を求められている。その進化の先にこそ未来はある。(群馬・HM)

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