コラム

2010/07/31

広がる公募型公共事業(山梨・OS)


▼最近、「公募型公共事業」を実施する自治体が徐々に増えてきた。公募型公共事業とは、工事して欲しい箇所を広く住民から公募しその内容を第3者からなる審査委員会で審査して採択したものを事業化するもの。京都府が昨年度から全国に先駆けて始めた

▼事業を始めることになったきっかけは、本当に必要な箇所にのみ、みんなの血税を投入すべきだという純然たる理念の基に府に訴えかけたのではない。実は仕事が減って困りはてた建設業者らが何とか仕事をつくって欲しいと、府に陳情したのだという。これまで役所側が決めてきた事業箇所を公募するという試みは、公共事業=税金の無駄づかいという図式を打ち破る可能性がある

▼役所主導の公共事業は、役所側が税金を使って勝手にいらないものを造っているというイメージが強く、それだけに公共事業=悪という図式になりがち。これを住民側が提案したものを造るという形に変えたらどうだろう。イメージの一新とまでいかないまでも、クリーンなイメージに変わってくるのではないだろうか。無論、多少の問題点は出てくるにせよ、やってみる価値は充分ある

▼その証拠に、公募型の公共事業を取り入れてからというもの、京都府には住民からの感謝の手紙が相次ぎ、その声を受け、今年度はより多くの予算を取り、数多くの事業を実施する予定だという

▼また、こうした取り組みはマスコミに取り上げられると、秋田県や群馬県がモデル事業として取り組みを始め、本格導入を目指している。みんなでつくる公共事業。まさに「公共」と呼ぶにふさわしい形に変わっていくことを願っている。(山梨・OS)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら