コラム

2010/07/09

サービス業を究める(茨城・KK)


▼「日本の景気はあと2、3年は回復しません!」―ある建設会社の安全大会でのひとコマ。発言の主は経済ジャーナリストの須田慎一郎氏。テレビの報道番組などのコメンテーターでおなじみの論客だ。『どうなる?今後の日本経済』と題する講演で、企業の生き残りのための条件を訴えた

▼須田氏は2002年2月から2007年10月の戦後最長の景気拡大局面を「実感なき景気拡大」と解説。実質経済成長率がわずか2・1%に過ぎなかったことに加え、自動車や電機、機械など輸出関連産業がGDP伸び率の61%も占め、内需が低調だったためと分析。66年から70年のいざなぎ景気では外需は8%、80年代のバブル期でも12%にとどまった

▼今、大学の文系の新卒者はまず営業部に配属されるのが一般的だ。理系出身者も同様だ。企業の生産現場が中国など海外に移ったりしているからだ。かつての「匠の国」、「職人国家」日本は、現状では企業で働く人の大多数が外回りをするか、店頭に立ってお客に商品を勧めるのが仕事のサービス業中心の国家になりつつある

▼「景気さえ良くなってくれればという、景気頼みの考えはやめましょう」と須田氏。過去の豊富な取材から「大手でも中小でも、従来型の営業をしている企業は伸びない」と断言する。「徹底したマーケットリサーチに基づく提案型の営業こそが生き残りの条件」とも

▼「現場はもちろん、総務も営業もそれぞれがそれぞれの立場で安全管理を」―安全大会でよく耳にする訓示だ。「自分はサービス業に携わる人間だ」―全社員がそんな自覚を持ち、切磋琢磨を続ける企業は強いだろう。(茨城・KK)

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