コラム

2010/07/14

総意工夫が問われる(群馬・SS)


▼昭和から平成へと時代が移る激動期。当時の小渕恵三・内閣官房長官が新しい元号「平成」を発表したのも懐かしく思える。当時の日本経済はバブル景気に沸いていた。ターフでは1頭の雑草サラブレッドが、エリートサラブレッドを薙ぎ払い、角界ではオオカミに形容された大横綱がその力を誇示していた

▼「芦毛の怪物」と呼ばれた競走馬オグリキャップが死んだ。地方から中央にやってきて怒涛の連勝劇。晩年は精彩を欠き「終わった」と思われた。現役最後のレースとして臨んだ有馬記念では奇跡のラストランを演出。自身はもちろん、競馬の人気をも頂点に誘った功労者だ

▼千代の富士は同一年に関脇・大関・横綱それぞれの地位で優勝しウルフフィーバーを巻き起こした。昭和63年に53連勝という記録を打ちたて、翌平成元年には通算勝ち星の新記録を達成、相撲界唯一の国民栄誉賞を受賞。千代の富士の引退後には若貴兄弟が頭角を現し、人気は絶頂に達した

▼その相撲界が未曾有の危機に瀕している。過去に例を見ない大規模な賭博問題が起こった。現役の大関と親方が解雇されるなど異常事態だ。少し前には大麻問題が起こったばかりで、自浄能力が指摘されている。名古屋場所は10人の関取が謹慎休場、テレビ放送もなくなる。大相撲も死んだと言って過言ではない

▼競馬も大相撲も隆盛を極めていたバブル期にはうなぎ上りだった公共事業予算も、ここのところ減少の一途をたどっている。公共事業頼みの建設業界は悲鳴をあげている。大相撲と一緒に蘇生できるのか。いかにして乗り切るか。今、創意工夫が問われている。(群馬・SS)

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