コラム

2010/08/20

2年遅れの夢の球宴(新潟・KK)


▼プロ野球・オールスターゲームが先月24日、新潟県で初めて開催され、詰め掛けた約3万人の観客が「夢の球宴」に酔いしれた。当初、2年前の開催が予定されていた。しかし中越地震からの復旧・復興を優先させるため県立野球場(ハードオフ・エコスタジアム新潟)の着工を凍結、開催を返上した経緯があり、県民にとっては、まさに待ちに待った試合だった

▼今から約4年前、野球場を建設すべきかどうか議論された。地震の影響により中山間地域で、仮設住宅での生活を余儀なくされている被災者がいる一方、被害を受けていない都心の新潟市に野球場を建設することに合理的な理由を見出すことは難しく思えた

▼全国で唯一県立野球場がなく、プロ野球一軍の公式戦が10年間も開催されなかったという背景や国体開催までの期限が迫っていた。結果的に野球場は当初計画から約2年遅れで着工され、オールスターゲームも無事開催されるに至った

▼被災者の生活再建を優先させた上での野球場建設だったが、今回、新潟県に立派な野球場があることが全国に知れ渡り、震災からの復興が進んでいることのアピールにもなった。また新潟県内では、同球場をプロ野球の準フランチャイズ球場とするべく、球団の新潟招致に向けた動きが活発化するなど今後の可能性も広がっている

▼これからも数多くの熱狂と感動がこの球場で生まれるに違いない。今回、2年遅れで「夢の球宴」が新潟にやってきたが、いつの日かまた、この球場で「夢の球宴」が開かれる時、果たして新潟はどのような変貌を遂げているだろうか。期待と不安が入り交じる。(新潟・KK)

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