コラム

2010/09/01

環境指向への転換がカギ(群馬・KS)


▼「風景も文化も、日本の町並みは素晴らしい」。先日、初来日を果たしたドイツ人の言葉だ。「でも本音を言えばアジアらしさを感じる」と。ふとした会話から生まれた欧州とアジアの景観に政策の違いや国民に根付く意識の違いを映し、ドイツ人から見た日本とは、世界から見たアジアとはどんなイメージなのか興味が湧いた

▼アジアは、中東、東南、東と3分類されることが多い。世界にはエスニックな地域としてインドなど南アジアの印象が濃いのだろう。同時に筆者にはアジア諸国はインフラ整備が完全でないという印象が濃い。はたして日本もそのうちの一国なのだろうか

▼「アジアらしさ」と発した背景には、先進国でありながらも、環境を意識した取り組みが全国的に徹底されるまでに至っていない状況について、欧州との意識の違いを指摘したものだろう。その要因として電柱の数の多さがある。欧州では目立たない電柱も日本にはクモの巣のように空中に張り巡らされている

▼筆者がイメージする欧州は荘厳な石造りの町並みや建築物。インフラ整備を進める一方で、景観を損なう立て看板や電線の地中化、建設物の高さ規制や屋根の斜頸など、自然環境を優先した取り組みを率先しているためだろう。各国で規制は違うが、日本よりも景観に重点をおき、将来を見据えた資本整備の取り決めが国土づくりの差を生む

▼人工的な建設物を撤去する方針を取る欧州に比べ、電柱がむき出し状態の日本が同じく環境指向に転換したときこそ、日本はじめアジアのインフラ整備のあり方が大きく変わるときかもしれないと感じた。(群馬・KS)

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