コラム

2010/09/17

伝え続けた想い(茨城・HN)


▼映画『20世紀少年』の中に出てくる自称DJのコンチ。政治的権力を持った『ともだち』による支配下で自由が奪われ、報道も規制されるなか、勇気に満ち溢れる主人公ケンヂの曲を幾日もラジオで流す。だが「誰も聴いていないんじゃないか」とため息をもらす日々が続く

▼この小欄。読んでいただくため、記者は一生懸命取材して記事を書く。だが、このコンチのように「自分の記事なんか誰も読んでいないんじゃないか」と思うことがたまにある。日々、話を「聴いて」、それをもとに「書いて」、出来上がった記事を紙面に「載せる」という作業のくり返し

▼新聞は、紙面という媒体を通じて読者に情報を伝達しているが、どうしても一方通行になりがち。読者から滅多に意見がいただけるものではない。自分では「これぞ読者が望む記事だ」と思っていても、本当にそうか?、所詮、自己満足じゃないのか?、と葛藤がつづく

▼だからこそ、読者から「参考になった」と、ご意見を頂戴した際には感激もひとしお。?打てば響く?ではないが、反応がもらえることで「読んでくれている」という実感が湧き、嬉しくなる。しかし、それと同時に「読まれている」という緊張感もある

▼読者からの声は、なにも嬉しいものばかりではない。誤字脱字などのご指摘もある。だからこそ、身も引き締まり、やる気が沸き起こる。さて、コンチがラジオで流し続けた曲だが、この曲はしっかりと皆の心に響き、やがて皆を一つの方向へと向かわせた。あきらめずに伝え続けた想いは無駄ではなかった。小欄も、そう信じ書き続けるばかりである。(茨城・HN)

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