コラム

2010/10/29

便利さを追求するならば(茨城・HS)


▼世界最長記録が25年ぶりに破られた。記録保持者は日本からスイスへ。アルプス山脈を縦断する鉄道トンネル「ゴッタルドトンネル」(約57?)が貫通し、青函トンネルの持つ記録(約54?)を塗り替えた

▼運用開始は7年後。スイス・チューリヒ〜イタリア・ミラノ間の所要時間が1時間ほど短縮される。掘削した岩の量はクフ王のピラミッドの5倍に匹敵し、貫通した時の設計誤差は水平方向8?垂直方向1?という正確さだったそうだ。この計画が実現に至るまで、スイスでは4回の国民投票が行われた

▼一方日本でも、国交省の交通政策審議会中央新幹線小委員会がこのほどJR東海の計画するリニア中央新幹線のルートを「南アルプスルート」とする方針を固めた。長野県などは迂回する「伊那谷ルート」「木曾谷ルート」を要望したが、費用対効果など試算の結果回避された

▼ルートが事実上決定したことで、リニア構想は実用化に向け一歩前進した。開業は平成39年(2027年)を目指すというから、そう遠くない将来リニアの恩恵にあずかることができそうだ。東京から大阪を1時間そこそこで結ぶ速度がどれほどのものなのか、車内から見る外の風景はどうなるのか、今から期待でいっぱいだ

▼これらのインフラ整備は、元をたどれば「人間の生活をより便利で快適にするため」というところから来ている。巨大事業は自然と注目が集まるが、身近な生活道路はどうだろう。本当は必要とされているのに、小規模がゆえにないがしろにされていないだろうか。利用者が少ないからといって、いつまでも未整備を放置して良いはずがない。(茨城・HS)

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