コラム

2011/03/31

日本は斜塔に非ず(埼玉・YW)

日本は斜塔に非ず

▼天文学者、物理学者、哲学者といわれるイタリアのガリレオ・ガリレイがピサの斜塔に登り、上からさまざまな物体を落とし、「落下の法則」を見出したことは有名な話である。

▼ピサの斜塔だが、筆者は11年前フィレンツェから電車で斜塔だけを見上げ、さっさと戻ってきたことを覚えている。建設段階から傾き、学説ではいつ倒れるかもしれないと言われる有名な観光地である。斜塔は文字通り傾いている。しばし、危ない会社はピサの斜塔、あるいは沈没しそうな政党を「斜党」とさえ揶揄する。傾いている状態のシンボリックな表現によく使われる。

▼東日本大地震と津波による被災、計画停電、原発事故まで重なっている惨たんたる今日の状況下、生産性が上がらず、モチベーションも上がらないわが国は、ピサの斜塔そのものに思えてならない。それでもピサは世界中から観光客が押し寄せる活気に満ちた街である。

▼こんな状況は戦後間もないころと変わらないのではないだろうか。しかし戦後はこれから民主主義と新しい日本を目指し、ダイナミックに動き出した時代でもあった。我慢すれば、輝く未来が必ず到来すると信じひたすら働いた。ところが今日はどうだろうか。多少暗くもなるのは、筆者ばかりではないだろう。

▼しかし考え方を変えると、ピンチこそはチャンスなのである。今日のピンチはどこも一緒なのだ。そのピンチを乗り切ると大きなチャンスが広がってくる。それに向けて何をするのか、何ができるのかを考え取り組まなくてはいけないだろう。日本は斜塔に非ず、必ず再浮上する。これまでの先人達が成し得たように。(埼玉・YW)

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