コラム

2011/06/22

安心の前に安全が(群馬・AN)

安心の前に安全が

▼東日本大震災の発生により『安全と安心』といったフレーズが多く聞かれるようになった。震災の発生を契機に、防災面からの公共事業に注目が集まりつつあり、国民から後押しを受けていた『コンクリートから人へ』は、奇しくも現在とは真逆のキャッチフレーズとなってしまった。

▼4月から群馬県の県土整備部長に国土交通省の笹森秀樹氏が着任した。笹森氏は本紙の就任インタビューで『人のためにコンクリートを』なるフレーズを口にした。まさに、被災した東北地方で復旧支援にあたる建設業のみならず、復興を目指す被災地全体が今、そしてこれから先、日本全体が必要とするフレーズに感じた。

▼震災の影響から群馬県もそうだが、全国的に建設資材不足に陥り、とりわけ燃料類の不足、そして東京電力による計画停電の影響が大きく、工事などの工期延期が余儀なくされる案件がここ群馬でも多数発生した。これまでの公共投資量の大幅削減に加え、復興に向けた交付金5%留保が今後、地域の建設業へ大きな影響を与えることは必至だ。

▼5月定例県議会の一般質問で、質問に立った議員が「安心は自分自身が納得できれば済むが、安全は行政がやるべき以外にない。是非とも安全を確保していただき、安心へとつなげてほしい」と県執行部側へ求めた。

▼安全と安心は、セットで使われることが多い。しかし、安全があってこそ安心があるわけで、安全には何が必要なのかを改めて広く問いたい。これまで悪者扱いだったコンクリートが安心を生む。今だけでなく、今後もずっと安心の前に安全があることを忘れてはならないだろう。(群馬・AN)

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