コラム

2011/07/14

まずは「逃げるが勝ち」(茨城・HN)

まずは「逃げるが勝ち」

▼震災で天井が崩落した日本科学未来館(東京都江東区)が、軽くて柔らかく、仮に落ちても大事に至らない「膜天井」で全面改修した。この工法について、館長を努める毛利衛氏は会見で「安全な天井の一つとして、これから復旧工事に着手するところへ広く紹介したい」と解説した。

▼天井の耐震対策は、法令上、明確な基準が示されていない。茨城県では、過去の大地震の後に、国から示された技術指針に基づき「振れ止め」の設置などを実施してきた。だが、国は天井材落下の被害があったことから、技術指針の見直しに着手。茨城県も、国の調査に準ずる意向だが、早期対応が求められるところ。

▼先日、小紙の水戸支局が入居する県開発公社ビルで防災会議が開かれた。毎年行われているもので、中身はビデオ上映、消防計画、消防設備の取り扱いといった内容。その中で講師の1人が、地震が起きたらまず何をしますか?と質問した。それに対し、ある入居者は「机の下に隠れます」と模範的な回答に終始した。

▼思えば大震災の当日、定例県議会による土木委員会の真っ最中。地震は誰もがすぐ止むだろうと、高をくくっていたが、尋常ではない長い揺れに「テーブルに隠れてください」と県職員。議員や職員、そして筆者もテーブルに隠れるなか、ある記者は危険を顧みず、テーブルを押さえながら椅子に座り続けた。

▼政府の東日本大震災復興構想会議が6月25日にまとめた復興ビジョンでは、今後、被害を最小限に抑える「減災」と「逃げる」が基本、と提言している。あの記者の気概を見習うべきところもあるが、取材も命あってのものである。(茨城・HN)

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