コラム

2011/08/10

節電と体感温度(群馬・HI)

節電と体感温度

▼節電の夏、真っ盛りである。節電のため暑くて薄暗いオフィス。工場は操業の一部を休日へシフトしたため、平日だというのに静まりかえる工場街。各地の夏祭りでは随所に節電モードが見られるなど、これまでの夏の風景とは様変わり。

▼経済界や建設業界が主催する研修会や勉強会に取材で訪れると、東京電力の「節電のお願い」や資源エネルギー庁の「節電サポート」に触れる機会が多いのも今夏の特徴の一つ。説明に立った東京電力の担当者は最初に「この度は、大変なご不便とご迷惑をおかけして…」と謝罪から入り、その後はパワーポイントを使い、電力の受給見通しと節電の必要性を語る。計画停電も原則不実施としながら、「万が一の受給逼迫の場合」として、運用の見直しも合わせて説明する。

▼説明会終了後の質疑応答に入ると、静かだった室内の雰囲気が少し変わってくる。最初の当たり障りのない質問から、次第にエスカレート。中には「隠し電力がどのくらいあるのか示してほしい」「電力がよそに融通するほど余っているのに、何で節電しなければならないのか」と、担当者を追求する場面も。

▼そのような状況に置かれても、決して東京電力の担当者は、謙虚で丁寧な姿勢を崩さない。そればかりか、冷静な対応は、清々しい涼風が吹いたように会場を和ませるから不思議なものである。

▼世の中、数字など目に見える直接的な節電ばかりが注目されがちである。しかし、体感温度は本来、個人の気の持ちようで上がり下がりするものである。研修会が終わる頃、心なしか筆者の体感温度は確かに下がったような気がした。(群馬・HI)

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