コラム

2011/09/23

今年は大正100年(茨城・KK)

今年は大正100年

▼今年2011年(平成23年)は「大正100年」にあたる。1912年(明治45年)7月30日に明治天皇が崩御され、元号が大正と改められて、ちょうど100年目になるからだ。

▼欧米の文明を積極的に取り入れながら、めざましい変化を遂げた明治と、大恐慌と戦争、そして復興と経済大国への道をひた走った昭和の間にはさまれた大正は、14年半の短い時代。その一方で「大正デモクラシー」「大正ロマン」という言葉に象徴されるように、人々が比較的、平和を享受できた時代でもあった。

▼大正時代は、民衆の力の盛り上がりが激しかった。東京帝国大学・吉野作造教授の民本主義による政治の提唱を背景に普通選挙運動が活発になった。職業婦人が増えたのもこの時代の特徴。文化面でも活動写真(映画)、大衆向け雑誌、娯楽小説、野球などのスポーツも、文化の大衆化を表わすものだ。

▼大正時代といえば1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災。復興院総裁の大任に後藤新平に白羽の矢が立ったのはなんと翌2日。彼は直ちに「幅70mの幹線道路・公園の整備・地下鉄の建設」―近代的な都市計画を取り入れた復興根本策を打ち出す。

▼88年後の今年3月11日、東日本を襲った未曾有の大震災。あってはならない大惨事だったが、混乱の中、人の情けが身にしみたのもまた事実。「地味だが愚直なまでに誠実」―野田佳彦新首相の人物評。原敬が爵位を持たない初の平民宰相ともてはやされたのも大正時代。大正時代は何かと現代と共通点が多いのでは。あとは、後藤新平のような復興への断固たる決断と遂行に期待するのみである。(茨城・KK)

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