コラム

2011/10/12

矛盾を突いて真実を(群馬・AN)

矛盾を突いて真実を

▼矛盾とは、中国の韓非子に出てくる故事。矛と盾を売る商人が矛を売る際「この矛はどんな盾でも突き通す」と誇り、一方の盾を売る時には「この盾はどんな矛をもっても突き通せない」と言ったという。これを聞いた客の1人が「では、その最強の矛で最強の盾を突いたらどうなるのか」と聞いたところ、その商人は返答に困った。

▼そのやりとりから、つじつまの合わない意味を持つ「矛盾」が生まれたと言われている。この矛盾をテーマとし、世の中にある矛盾しているものを実際に競わせ、どちらが勝つかを出演者が予想するテレビ番組「ほこ×たて」が大人気。10月16日からは、これまでの深夜枠から日曜7時のゴールデンタイムで放映される。

▼昨今、矛盾する発言をする政治家が多い。あえて名前は避けるが、先日口にした発言がきょうになって一転することもしばしば。まさに、朝令暮改、矛盾と言えようが、その矛盾をキーワードに「矛盾があるからヒットは生まれる」を書き下ろしたカリスマゲームクリエーター稲船敬二氏。

▼作品への評価には賛否両論あるものの、クリエーターならではの思考が張り巡らされ、仕事への心構えや取り組みなど、いわゆる独自の仕事術が書き綴られている。確かに、矛盾を感じることで物事の解決につながることも事実だ。

▼矛盾と聞くと、なるべく避ける発想をしてしまうことが多いが、その矛盾を突いてこそ真実に辿り着けることも。矛盾の中には真実が隠されている。一定の問題意識と見解に立った記者の論評はジャーナリズムの根本であり、真実を追う取材活動には、常に大きな矛盾がそびえ立っている。(群馬・AN)

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