コラム

2011/10/22

門前払いされないために(東京・UT)

門前払いされないために

▼競争入札で、参加要件として設定されている実績を満たすことは、スタートラインの大前提だ。これをクリアできなければ門前払い。忸怩(じくじ)たる思いをされた方も多いのではないだろうか。入札改革でもしばしば、実績要件の緩和が取り上げられている。

▼昨年、「海外水ビジネス」というフレーズが多くのメディアで使われた。ただ、水道事業全体のマネジメントを日本企業が受注するのは、簡単なことではない。競争に参加するためには水道事業の運営実績が求められるのだが、日本の場合、それを有しているのは地方自治体。このままでは民間企業は、いつまで経っても、本格参入できない状態が続く。

▼こうした現状の改善に向けて、神奈川県が一石を投じた。民間企業が業務運営の実績をつくったり、ノウハウを習得できるよう、給水区域の一部をフィールドとして提供する方針などを打ち出した。8月には「かながわ水ビジネス研究会」の初会合を開いており、11月と年明け1月にも会議を開催。実現に向けて、参加企業と意見交換を行う。

▼県企業庁では現在、12市6町の約278万人に給水している。このうち箱根水道営業所管内、給水人口にして約6500人のエリアを提供フィールドとする。2013年度以降、水源から末端給水までの業務全体を視野に、包括委託を実現させる考えだ。

▼研究会に参加している企業は55社。東芝、日立製作所、積水化学工業といった大企業のほか、地元の企業も参画している。大手と中小が連携し、実践により水ビジネスのノウハウを習得する。国際競争で門前払いされないために。今後の成果に期待したい。(東京・UT)

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