コラム

2011/11/18

被災を乗り越え優勝(茨城・MK)

被災乗り越え優勝

▼過日、サッカーJリーグのカップ戦王者を決めるヤマザキナビスコカップの決勝戦が行われ、鹿島アントラーズが浦和レッズを延長戦で破り優勝した。鹿島の同カップ優勝は9年ぶりで、国内3大タイトル(リーグ、天皇杯、ナビスコカップ)の通算優勝回数は最多の15回。

▼多くの優勝を誇る鹿島だが、今回の栄誉は特別なものがある。東日本大震災で被災した地域のチームだからだ。本拠地とする鹿嶋市周辺も地震や津波で大損害を被る。被災時、リーグ戦は開幕直後。鹿島は活動を停止せざるを得なかった。監督は練習続行を訴えたが、それどころではなかったという。精神面、コンディションでハンディを抱えてのリーグ戦再開となり、苦戦を強いられた。

▼鹿島の中心選手に、岩手県出身の小笠原満男選手がいる。被災後は、故郷さらにはお世話になった人の被害状況に「こういう時にプレーしていて良いのか」と悩む。被災地を何度も訪れるとともに練習後、黙々と支援物資を積む込む。コンディションが整わず苦労していると、被災した方から試合で活躍する姿を見たいと言われ「逆に励まされた」。その思いは他の選手も同じ。出遅れたリーグ戦は苦戦しているが、カップ戦では激戦を勝ち抜いた。

▼一方、鹿島に敗れた浦和。日本を代表するビッグクラブだが、リーグ戦では残留争いを演じている。4年前はアジアクラブ王者になったチーム。その後は中心選手の移籍、GM(ゼネラル・マネジャー)の辞任などが伝えられている。どうしてしまったのか。

▼被災というピンチを乗り越え、栄冠をつかんだ鹿島。被災県に住む一人としてうれしく思った。(茨城・MK)

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