コラム

2011/12/08

半世紀を経た雪国の宝(新潟・KK)

半世紀を経た雪国の宝

▼雪国では間もなく降雪期を迎える。年内は穏やかな気候になるともいわれているが、近年の異常気象を考えれば何が起っても不思議ではない。まさに「備えあれば憂いなし」で、天気予報を踏まえて来るべき降雪へ万全の備えが必要だ。

▼雪国において冬の道路交通確保は日々の経済活動を支えるために必要不可欠で、11月から除雪業務体制に入ったところが多い。昼夜を問わず行われる除雪作業は激務だ。例え積雪がなくても毎日毎晩待機するオペレーターは必要で、豪雪になると、ほとんど家に帰れないといった非常に厳しいケースがあると聞く。除雪出動式で小学生が安全の願いを込めてゴールドキー等を手渡すイベントは最近では降雪期前の風物詩になっている。無事故での除雪作業は歩道を含めた道路利用者共通の願いだ。

▼機械による除雪のほかに雪国では温かい地下水を汲み上げて道路に散水し、融雪する「消雪パイプ」を整備している市町村も多い。「消雪パイプ」は新潟県長岡市で発明され、今年で50年になる。開発に尽力した今井與三郎・元長岡市議会議員は、柿の種で有名な浪花屋製菓の創業者でもある。

▼「消雪パイプ」には地盤沈下を引き起こすという問題もあったが、50年を記念して9月に開催されたシンポジウムでは、未来の雪国づくりに向け、今後も雪国の貴重な宝として「消雪パイプ」を継承していくことが確認された。

▼長岡市では今夏、「消雪パイプ」を打ち水に使う社会実験が行われた。雪国の除雪・克雪対策を支えてきた宝物に、半世紀を経て猛暑対策という新たな利用価値が出てきたことは単なる偶然とは思えない。(新潟・KK)

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